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第10回「地域企業論」を開講しました

 2026年度前期科目として開講している「地域企業論」では、西京区内を中心に、地域に根差した経営を行っている多種多様な企業群の経営者・責任者の方々をお招きし、地域企業と地域社会の関わり、産業特性、経営上の工夫などについて、実務に基づいた講義をしていただいております。本講義は、学生たちにとって貴重な実学の学びの機会となっております。

 2026年6月24日、第10回目の地域企業論のゲスト講師として、株式会社インテリア・ホソイ代表取締役・細井和博氏にお越しいただきました。インテリア・ホソイは、①建築の内装仕上工事、②窓装飾品の提案・販売・施工、③インテリアの提案、④出張方式カーテンクリーニング等々の建設関連事業を複数営まれています。従来の事業形態は、施工中心のものでしたが、現在はデザイナーや職人を自社で育成し、オリジナルのデザインやコーディネート業といった新規の分野に事業を展開されています。少々余談にはなりますが、インテリア・ホソイは京都経済短期大学と取引関係にあり、本学校舎の内装の多くを手掛けていただいております。
 インテリア・ホソイは様々な営業品目を取り扱っておられますが、職人・技能士と顧客との打ち合わせを最重要視し、顧客の要望に応えられるように最大限の努力を続けておられます。細井氏は実際の作業現場の写真を交えて、具体的な作業場の雰囲気を、非常に丁寧に伝えてくださいました。細井氏は自社の業務内容を、「建物の価値を上げる仕事」と明確に位置付けられております。
 続いて細井氏は、建設業界の構造・仕組みについてお話しくださいました。一般的には、建設会社が施工全般を担っていると思われがちですが、実際には、建設会社が、内装仕上げ工事、防水工事、塗装工事等々の専門工事業者に委託を出し、建設会社は元請として、全般管理を行っているというのが実態です。この業界構造は、高度成長期における建物の大型化・複雑化・工期短縮などの時代の要請に対応する形で、高度な専門化・分業化が進み、形成されていったとのことでした。さらには、素材やデザイン、機能の多様化、環境への配慮等、建設業界は変化を続けています。シンプルな居住空間から、美しさ・機能性・心地良い空間へという理念が変化の本質です。さらに細井氏は、今後の内装業の未来予測として懸念される人手不足やサービス化、環境対応などへの対応案として、未来の内装業は「仕上げる仕事」だけではなく、「暮らし・学び・働き方をデザインする仕事」へと変化していく必要性を述べられました。
 また、内装業の経営者としての、キャリア・アンカーが形成されていく過程(キャリア・ヒストリー)についてお話しくださいました。紙面の関係上、全てを詳細に紹介は出来ないのですが、20代では得意先の常務からの一言と、ある現場打合せでの左官屋さんとのやり取り、30代ではコープイン京都改修工事、40代では経営理念成文化、50代では近畿大学との共同研究等々といった多種多様な経験が起点となって、細井氏のキャリア・アンカー(自身の拠り所となる強み、価値観、動機)は構築されていったとのことでした。細井氏は自身のエピソードを通じて、学生たちに、就職先を「会社名」だけでなく「価値観」で見ることの大切さを伝えてくださいました。そして、「やりたい職種」が最初から決まっていないことは問題ではなく、様々な経験を積むことで、自分が何を大切にしたい人間なのかを知ると、仕事選びの軸が見えてくるというメッセージも伝えてくださいました。。
 さらに細井氏は、地域企業ならではの自社の強みと戦略についてお話しくださいました。強みとしては、①提案力×工事力(D pack)、②アフターサービス、(10クリーニング)③ショールーム(inxKYOTO)、④産学連携、⑤若手育成、⑥地域への根づき(創業56年)、戦略としては、①提案力、②技術力、③スピード、④信頼を挙げられました。これらの強みと戦略は、いずれにおいても地域社会に根付いた経営を行ってきたインテリア・ホソイならではの独自性を有しており、地域企業としての非常に優れた競争優位をもたらしています。
 最後に細井氏は、今後のインテリア・ホソイの向かうべき道筋について、「未来投資」という言葉を用いて説明してくださいました。細井氏は、人材育成(人間性や協調性、考察力など)を経営上の最重要事項と位置付けられています。まずは「現在」抱えている課題と対策を明確にし、新しいインテリア文化の創造という未来像、「10年ビジョン」を描き、そして自社の「経営理念の実現」を永久的に追い求めていくというプロセスを通じて、50年後の自社のあるべき姿を目指していくとの考えをお示しくださいました。
 本学では建設業界、関連企業に就職する学生も多く、非常に良い業界学習の機会となりました。また、細井氏の自身のキャリア・アンカーが形成されていく過程のお話は、就職活動を行っている学生にとって貴重なアドバイスになったことかと思います。そして、インテリア・ホソイの、「現在」、「10年ビジョン」、「経営理念の実現」という中・長期的な視点から、段階的に理想的な将来像を追い求めて続けていく姿勢は、企業が存続していくにあたって、極めて重要な視点であるという学びを得ることが出来ました。

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