2026年度前期科目として開講している「地域企業論」では、西京区内を中心に、地域に根差した経営を行っている多種多様な企業群の経営者・責任者の方々をお招きし、地域企業と地域社会の関わり、産業特性、経営上の工夫などについて、実務に基づいた講義をしていただいております。本講義は、学生たちにとって貴重な実学の学びの機会となっております。
2026年6月10日、第8回目の地域企業論のゲスト講師として、株式会社さわらぎ代表取締役・椹木秀明氏にお越しいただきました。株式会社さわらぎは、婚礼や七五三、成人式などのお祝い事における貸衣装業や、ブライダルプランニングを始めとした各種セレモニー・イベントのプロデュース・コーディネート業を営まれています。今年で創業50年の節目を迎えられるのですが、その間に、様々な新規事業の立ち上げ、成功を収めてこられました。
椹木氏は、株式会社さわらぎの3代目として事業承継されるまで、世界的なデザイナーである桂由美氏のドレスメーカーにて営業職を務め、その後、文化財や事業の再生/コンサルティングをおこなうベンチャー企業で仕事をされていました。これらの経験から、顧客を始めとしたステークホルダーとの信頼関係の重要さ、各地域において積み重ねられてきた独自の歴史や文化を現代風にアップデートすることによって新しい価値が創造され得ることなど、多くのことを学ばれ、その学びは現在の(株)さわらぎの経営に大いに生かされているとのことでした。
実際に椹木氏は、自社と類似した事業を展開する大手企業に対抗する生存戦略として、地域資源を有効活用した経営をおこなわれています。京都には、各地に当該地域の歴史や文化を象徴・反映する神社仏閣が数多く存在しています。しかしながら、一部の観光名所として特別に著名なものを除いて、多くの神社仏閣は、氏子、檀家の減少や後継者不足による経営難を抱えているという現状が存在します。そこで、椹木氏は、歴史ある神社仏閣と自社の事業とを結びつけることで、地域活性化活動と収益を両立させる試みを打ち出します。その一例として、本学が位置する西京区の大原野神社において、紅葉ライトアップイベント「光と水」を例年開催されています。このイベントは、ライトアップされた大原野神社の幻想的な空間を楽しむことを主とした企画で、アート関連のワークショップ、多くの屋台の出店によって大いに好評を博すとともに、地域住民の憩いの場にもなっております。もちろんその裏には、椹木氏の多大な経営努力があったことは言うまでもありません。その他にも椹木氏は、ローカルフリーペーパーである「上京じかん」を創刊し、「チックタック光る絵本展 @上賀茂神社」の開催、「京都やおよろず文学賞」の創設等々、自社事業と地域資源を融合させた数々の取り組みをおこない、新たな価値を創出し続けておられます。
(株)さわらぎの経営手法は、当該地域独自の地域資源の有効活用という、他地域では絶対に模倣不可能な競争優位性を有しています。学生たちは、地域企業が大手企業に対抗する戦略と手段について、多大なる学びを得たことかと思います。本学には、ブライダル業界に関心を持つ学生が多くおり、当業界が有する多彩なポテンシャルへの理解も深まったことでしょう。また、講義終了後には椹木氏が手掛けるイベントにボランティアとして参加を希望する学生が数多くおり、企業活動のみならず地域貢献活動への意欲も高まる非常に有意義な講義となりました。


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