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第5回「地域企業論」を開講しました

 2026年度前期科目として開講している「地域企業論」では、西京区内を中心に、地域に根差した経営を行っている多種多様な企業群の経営者・責任者の方々をお招きし、地域企業と地域社会の関わり、産業特性、経営上の工夫などについて、実務に基づいた講義をしていただいております。本講義は、学生たちにとって貴重な実学の学びの機会となっています。

 2026年5月20日、第5回目の地域企業論のゲスト講師として、株式会社川勝總本家専務取締役・川勝隆義様にお越しいただきました。川勝總本家は大正6(1917)年に創業した、いわゆる100年企業であり、京漬物の製造販売業を営まれています。川勝總本家が提供している伝統的で独創的な京漬物は、京都市内外の幅広い顧客層から、多大なる評判・支持を集めています。また、本店の他に、JR京都駅、有名百貨店、各種観光名所に店舗を構えており、京都の代表的な土産物として世間から認知されています。
 川勝様はまず初めに、企業を存続させるための戦略理念として「温故創新」という川勝總本家独自の造語を用いて、時代の変化に対して自社のコアバリューを維持しながら、商品・商法の革新を志向し続ける経営方針についてお話しくださいました。
 続いて、100年以上に及ぶ川勝總本家の歴史について、お話しくださいました。創業当初から、従来の受け身のマーケティングから、大八車での引き売り、寿司箱の見本販売などの「見せる」という画期的なプロモーションを展開していました。さらに川勝總本家の代表的な商品となる「祇園漬」が開発、販売されました。この祇園漬が舞妓さんたちの間で評判となっていわゆる口コミでの評価が広がり、一流料亭から全国へと名声が拡大していきました。現代でいうインフルエンサーマーケティングの走りといえます。続いて、多店舗展開、業界初となる川勝相互組合を設立し業界を牽引するなど、個人商店を属人的な商いから持続可能な「システム」として転換させる試みを打ち出しました。次代においては、戦争の影響による苦難の時期を迎えるのですが、企業理念である「愛と汗」、損をしてでも義をつらぬく精神にのっとり、見事にのれんを守り抜き、その後の「ブランド力(評判)」の礎を築き上げました。やがて高度経済成長期を迎えると、川勝總本家は様々な試みを実践に移します。百貨店への出店、「刻み漬」の開発と大ヒット、メディアを通じた発信(NHK連続テレビ小説「京、ふたり」の漬物指導、店内モデル)等々、次々と新たな成功を収めていきました。
 加えて、川勝總本家は漬物という食文化を地域に浸透させていく社会的な試みも行っています。漬物教室の開始、晦日漬の提案など、食品メーカーに留まらず、食文化の発信基地としての役割も担っておられます。
 近年のコロナ渦の時期には、観光客が激減し、お土産需要が激減し、経営危機を迎えてしまいます。この危機を経ることで川勝總本家は視点を転換させ、プロダクトから「エクスペリエンス(体験)」という発想に至ります。インバウンド客や若年層の来客の回復を見据え、「持ち帰る漬物」だけではなく、串に刺してそのまま食べるという「体験型コンテンツ」としてドメインを再定義しました。2021年清水寺表参道店にて、このコンテンツを実践し、大いに好評を博しています。この他にも、様々な新しい事業計画を立案し、実行に移しているのですが、紙面の関係上、全てを紹介できないことが残念です。詳しくは、川勝總本家のHPをご覧ください。
 学生たちは、100年がいかにして時代に適合し存続してきたのか、守るべき伝統とチャレンジ精神・実行力との両立など、企業を存続させ続ける経営上の創意工夫について多大なる学びを得ることができました。また、川勝總本家の誠実に商いに向き合う「愛と精神」の教えから、企業は利益だけを求める存在ではなく、社会的な公器としての役割も担っているという気づきも得ることができました。

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