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第9回「地域企業論」を開講しました

 2019年度前期科目として開講している「地域企業論」では、地域における中小企業のアイデンティティを認識するという趣旨のもと、主に西京区内でご活躍されている事業主様等を毎回ゲスト講師としてお招きし、事業内容や地域との関わりについてお話しいただいています。

 2019年6月11日(火)の第9回目講義では、川勝總本家専務取締役・川勝隆義氏にお越しいただきました。川勝總本家は、大正6年に創業された100年企業であり、京漬物の製造・販売を営む、京都を代表する老舗企業の一つです。確かな職人技術に裏付けられた伝統的で風味豊かな京漬物に加え、定期的な製品開発にも取り組んでおり、伝統と革新の両方を兼ね備えた経営を行われています。その評判は全国的にも知れ渡っており、テレビや新聞等のメディアにも度々取り上げられています。さらには、定期的に漬物教室を開催するなど、文化としての京漬物の啓蒙・普及活動にも取り組まれています。

 川勝氏は最初に、川勝總本家の100年の歩みについてお話しくださいました。100年の歴史は決して順風満帆なものではなく、太平洋戦争の被害や自然災害に伴う原材料となる野菜の不足、伝統的な職人による技術継承の困難さなどについてご説明いただきました。老舗企業として社会的に認知されるまでには、様々な苦労や地道な作業の積み重ねがあったことを思い知らされました。

 続いて、過去のテレビ取材の映像が流されました。その中で、女性タレントが、実際に京都の3大漬物の一つである千枚漬の製造にチャレンジされていました。かぶら(かぶ)を程よい厚みに削るカンナでの作業などに悪戦苦闘しながらも、出来上がった千枚漬を「これまでの漬物のなかで一番美味しい」と話されていました。川勝氏は京漬物の説明や技術指導として出演なさっており、「お客様に美味しいと言ってもらった時が一番うれしい」と語っておられました。

 最後に、ご自身のキャリアについても触れられました。4代目の社長となるために、最初は金融を学ぶべく銀行へ入職、その後は販売を学ぶべく百貨店へと転職、最後に漬物の原材料について学ぶために農業関係の仕事に従事されたと話されました。経営者になるためには、様々な職能に関する知識や経験が必要であることが理解でき、経営者志望の学生たちにとっては大いに参考になったことでしょう。

 老舗企業としての伝統と革新の連鎖、伝統技術の継承・啓蒙、経営者の役割など、多岐にわたる分野で貴重なお話が聞けました。学生たちも多くのことを学ぶ良い機会になりました。

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