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第13回 地域企業論を開講しました

 2026年度前期科目として開講している「地域企業論」では、西京区内を中心に、地域に根差した経営を行っている多種多様な企業群の経営者・責任者の方々をお招きし、地域企業と地域社会の関わり、産業特性、経営上の工夫などについて、実務に基づいた講義をしていただいております。本講義は、学生たちにとって貴重な実学の学びの機会となっております。

 2026年7月15日、第13回目の地域企業論のゲスト講師として、株式会社渡月亭代表取締役社長・古川拓也氏にお越しいただきました。渡月亭は、明治30年に創業された老舗企業であり、料亭旅館業を営まれています。京都を代表する多数の史跡や名所、ならびに四季折々の風情をもたらしている自然に囲まれた場所に位置しており、まさに京都の文化を堪能するには最高の立地であるといえます。

 まず初めに古川氏は、和の文化へのこだわりについてお話しくださいました。渡月亭のこだわりは、日本食の中でも最高の一つとされる京都料理に始まり、襖や障子、畳、庭といった建物や景観、さらには日本独自の作法まで多岐にわたっています。これらのこだわりは、日本の伝統技術を受け継ぐ職人の育成にもつながっており、渡月亭は、日本の文化を継承する幅広い役割を担っておられます。また渡月亭は、多くの海外からの観光客にも利用されており、そのおもてなしの素晴らしさは、大いに評価されています。古川氏は、彼らからの指摘によって、和の文化の価値について改めて気づかされることが度々あるとおっしゃられました。

 続いて古川氏は、嵐山における自然と景観保全の運動についてお話しくださいました。嵐山の周辺地域に位置する地域企業群は、多くの史跡や自然景観という観光・地域資源に支えられていることは言うまでもありません。2013年の台風18号の影響によって大堰川(桂川)が氾濫し、周辺地域に水害による甚大な被害をもたらしました。この災害が起点となり、国土交通省は溢水(いっすい)対策として、大堰川の左岸に1.8mのパラペットを設置する計画を発表しました。この計画に対し、渡月亭を中心とした地域住民側は、由緒ある景観を守るために、住民・商業者・消防・警察・学識経験者・行政等のステークホルダーを巻き込んだシンポジウムを3年間にわたって複数回おこない、国交省に計画の変更を訴えかけます。結果として、折衷案として可動式止水壁が採用されることとなり、景観保全と災害対策の両方が実現することとなりました。

 さらに古川氏は、近年の新しい取り組みとして、吉野山と嵐山との地域間連携による嵐山千本桜プロジェクトや、嵐山解説多言語アプリの発売などを紹介されました。これらの取り組みは、観光客に嵐山の文化や観光・地域資源の魅力と奥深さを本当に知ってもらうための試みであり、うわべだけではない真の嵐山ファンを開拓していくことを目的としています。

 学生たちは、嵐山地域の歴史や文化に関するいくつかの知識はあったかもしれませんが、それらを守り、継承し続ける地域企業の取り組みと苦労については初めて知ることとなりました。地域社会に根差した歴史や文化とともに在り続ける渡月亭は、まさに地域企業の優れた見本の一つであり、学生たちにとって、地域企業と地域社会の関係性について考える極めて貴重な機会となりました。

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