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2017年度 入学式 式辞

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
 新入生の、保護者・保証人のみなさま、おめでとうございます。
 ご来賓のみなさま、ご多端のところご臨席をたまわり、厚くお礼を申し上げます。

 この京都経済短期大学は、1993年に開学し、今年度25年目、ちょうど四半世紀となります。この節目となる年に、入学定員150名のところ、181名の入学者を迎えられることをうれしく思います。私たち教職員一同は、新入生のみなさんと出会えたことに感謝いたします。

 さて、みなさんの入学する本学の特徴のうち二つについてお話しします。
 まず、日本の短期大学の中で唯一「経済」という名称がついていることです。経済とは、「社会生活を営むのに必要な生産・消費・売買などの基本的な活動」を指すものです。みなさんは、これから生きていくのに必要な世の中の仕組みについて広く深く学んでいくことになります。
 もう一つの特徴は、卒業時の進路について手厚くケアをしているところです。就職希望者には、ひとりひとり就職ガイダンスを行い、就職活動に直結する講義を行い、その結果高い就職率を達成しています。さらに、就職した卒業生の中には在学生のサポートのために顔を出してくれる先輩も多数います。 また、四年制大学への編入学を果たす学生も多くいます。データでは、学生数の約30%が編入学を果たしています。ちなみに全国平均では3.6%です。
 みなさんは、この二つの特徴をもつ本学で、これから二年間、忙しくも充実した生活を送ることになります。実際、本学の学生は大変熱心に授業を受け、自分の将来を自ら切り開いていく明るさと、たくましさと力を身につけて卒業していきます。

 本日は、経済学の用語を一つお話しします。晴れの日に似つかわしくないのですが、それは「囚人のジレンマ」です。共同である犯罪を行ったと思われる二人を逮捕した。物的証拠は乏しく、その犯罪を自白させるしかなかった。二人は別々の部屋に分けられ、個別に取り調べられた。このとき、取調官は容疑者にこう話した。「二人のうち、おまえだけが自白したら、捜査協力と情状酌量で無罪放免。逆に、おまえが黙秘して相棒だけが自白した場合は、そのぶん罪は重くなるだろう。」まず、相棒が自白した場合、自分だけが黙秘しては罪が重くなるので自白した方がよい。一方、相棒が黙秘した場合には、自分だけが自白して無罪放免となる方がよい。つまり、相棒の行動がどうであっても、自分は自白した方が有利になります。その結果、二人とも自白して罪を認め、相応の罰を受けるという結末です。
 しかし、もし二人とも黙秘して自白しなければ、物証も乏しいことから、二人とも無罪となる可能性が高いのです。つまり、「囚人のジレンマ」とは、二人が協力した方がよい結果になるのに、自分のことだけを考えて協力しなくなる、というジレンマです。

 この「囚人のジレンマ」の教訓は、「自己の利益のみを追求するのではなく、協力することが全体の最適になる。」ということです。最近の誘拐や殺人などの身勝手な犯罪、格差社会、歩きスマホ問題、空き家問題、社会保障の問題など、社会問題の多くはこれで説明できるのではないでしょうか。また、南シナ海の暗礁を人工島にすること、ミサイルの発射実験を繰り返すこと、移民を排斥すること、囚人のジレンマで説明できることはいろいろあります。
 私の専門分野の環境問題は、ほとんどこれで説明できます。ただ、問題の説明はできても、これらを解決するには、「どのように協力するのか」という「協力のデザイン」が必要になります。そのことを理解し、これに取り組めることのできる人間になってほしいと思っています。

 最後になりますが、本学を経営する学校法人明徳学園のミッションは、「「傍」を「楽」にするひとづくり」です。人は誰しも自分が中心です。しかし、自分ひとりで生きているわけではありません。
 自分の周りに目を向け、心を配り、協力しながら、ともに成長していくということを一生忘れないでください。われわれ教職員も、新入生のみなさんと一緒に成長していきたいと思っています。

 新入生のみなさんに多様で明るい未来が待っていること、自分の利益のみを追求せずいろいろな人と協力して成長できることを祈りつつ、そして、本日新入生のみなさんにここで出会えたことに深く感謝して、入学式の式辞といたします。

2017年4月3日

京都経済短期大学 学長  加藤 悟