北海道日本ハムファイターズでプロ 2 年目の今シーズン 6勝をあげた 北山亘基投手が 1月10日、学園本部の川口博理事長を訪問した。シーズンを振り返り、来季に向けた意気込みを語った。
母校に帰るたび、松井常夫監督と思い出話に花が咲くという。北山投手は「いつも初心に戻れる。支えて下さる周りへの感謝を忘れないようにしたい」と話す。さらに明徳学園で学ぶ後輩には「夢を形にするためのエネルギーをもってほしい。宇宙誕生もそう、強いエネルギーがあれば無から有を生み出せる」と応援の言葉をくれた。

左から京都成章高校の松井常夫監督、川口博理事長、北山亘基投手。
北山投手はサインした日ハムの帽子を川口理事長に贈った。
明徳学園本部を訪れた北山亘基投手にインタビューをしたところ、たくさんの金言をいただくことができました。その一部をQ&A形式でご紹介します。
※2024年1月10日 明徳学園本部にて
- 記者:
- 京都に帰って来て、お気に入りの場所ってあるんですか?
- 北山:
- 好きな場所は母校。高校3年間と大学4年間を熱中して頑張った場所なので、戻ると結構初心に帰れるんです。
- 記者:
- 帰ってきたらどういうことを思いますか?
- 北山:
- 感謝してやらないといけないなって毎回思い出させてもらえるんです。今日に関しても、こうやっていろんな人に関わってもらってますし、今日に限らずいろんな人が支えてくれている、規模がどんどん広がっていってるので。
- 記者:
- 規模が広がっていってる?
- 北山:
- そうですね。一人ではできない範囲のことが、いろんな人のおかげで今できているということをすごく感じるので、そこを毎年戻ってくるたびに改めて感じるところなんです。シーズン中はそこまで考えている余裕がないので。オフとかになって落ち着いてきたタイミングで帰ってくると、いろんな人が応援してくれているんだなということに気付けるので。そこを思い出させてもらえるという意味では、すごくいい時間になっています。
- 記者:
- 北山選手にとって、一番先にあるものは何ですか?
- 北山:
- 最終的には、みんなを幸せにしたいということです。もちろん手の届く範囲からですけど、一番は家族ですね。両親に親孝行するというのが一番上で、兄弟や親戚、お世話になった先生方だったり、あとはチームメイト、同級生も先輩後輩も一緒に野球してきた人たちもみんなそうです。どんどん広がっていくところに僕が成長すればどんどん影響も広がっていくと思うので、最終的にはそうやって幸せを届けられたらなと思っています。自分にとっては野球がその一つのツールなので、今は野球をしっかり頑張ってそういうことができたらいいなって思っています。
- 記者:
- 甲子園に出たことでみんなに幸せを届けることが出来ましたね。
- 北山:
- 当時一番苦しいときに考えていたのは、甲子園に行ったら絶対報われるのがわかっていたので。人って絶対落ちてる時ってあるじゃないですか。そこで、僕もキャプテンで甲子園を目指してやっているときにすごく苦しい時期があったんです。ここで僕が挫けたら、チームメイトも僕も先生も甲子園に行けないって考えたときに、みんなの幸せが離れていくと…。ここで僕が踏ん張って繋ぎ止めれば、チームメイトも甲子園に行ったその成功体験を通じて、大学、社会人になった時に幸せな未来が待ってるんじゃないかと想像したときに「ああ、このままではダメだな」と思って、踏ん張って頑張った時期があったんですよ。それはお世話になった人がよりみんながいい方向に進むためにはどうしたらいいだろうと考えたときには、あともう一歩踏ん張って頑張ろうという気持ちでやってましたね。
- 記者:
- 投手は一人で立っていろんな場面に向き合うと思うのですが、何か緊張を和らげる方法はありますか?
- 北山:
- もちろん緊張はするんですけど、その緊張の乗りこなし方だと思っていて、緊張をうまく使えれば力になるんですよ。緊張をうまく乗りこなせるか否かで結果が変わってきます。そこの違いは何なのかというのは、僕の中では準備がどれだけできているかってところだと思っていて、100%自分の中で確信のある準備ができたときは、どれだけプレッシャーがかかっても、緊張がある場面でも絶対にプラスの方向にしか働かないんですよ。
- 記者:
- それは絶対にそうなんですか?
- 北山:
- 逆にお聞きしますと、テスト勉強をして絶対に100点が取れるという自信がある状況でテストを受けるときに緊張ってしますか?
- 記者:
- なるほど、確かにそこまでやってるなら大丈夫ですね。
- 北山:
- その感覚ですかね。そこまでやりこんで自分の中で確固たる、精神的な部分もそうですし、技術的な部分もそうですし、しっかり仕上げた上で勝負に出るっていうのはいい意味で緊張感がプラスに働くと思うんです。要はそこまでやれるかどうかです。できてない部分があれば、どれだけそこに近づけられるか、まだまだ完璧ではないですけど、常にそういうところを求めてやっています。
- 記者:
- それは何事にも逆算がきちんとでき、先の見通しがあるからこそできるんですね。
- 北山:
- 高校生の時に段々先が見えるようになってきたんです。つまり、この先どうなるだろうって予想がつくようになってくるんですけど。それができるようになったのは、自分と向き合い始めた高校生の時期からです。自分自身がどういう人間なのかとか、自分のこの言動は相手にとってどういう影響を与えるのかとか。いろんな人がいる中で、自分の正解が他人にとっては不正解になっている場合があるんだなと気付いたときに、もっともっと自分のことを深く掘って考えていかないといけないなっていう風に思ったんですよ。
- 記者:
- それはキャプテンをやったことで?
- 北山:
- いや実は、僕は先生にキャプテンをやりなさいって言われる前からキャプテンをやるつもりだったんですよ。今だから正直に言いますと、キャプテンに任命されなくてもキャプテンと同じ働きをしてチームを強くするっていう、自分の中でそういう気持ちがあったんです。キャプテンって実際に言われたときは「これから大変になるだろうな」とは思ったんですけど、意外とそこもプレッシャーに感じず乗りこなせたのはさっき言ったところだと。なる前からなる自分を想像して、それに向けて少しずつ行動を始めてて、それがバチッとハマったおかげで自分もキャプテンとして、周りからかかるプレッシャーだったり大変な部分をうまく力に変えることができたのでピッチャーとしても成長できたんです。
- 記者:
- 最後に、明徳学園の学生生徒に向けて、激励やアドバイスを一言お願いします。
- 北山:
- 一番大事なのは「エネルギー」だと思うんです。宇宙ができたのも無から有だと言われるように、何もないところから何かを生み出すというのはエネルギーがないとできないことなので。僕もそうなんですけど、形のない夢を形にするためには、エネルギーがないと形になっていかない。エネルギーさえあれば何でもいい方向に進んでいくと思うので、エネルギーをもって頑張りましょう。