ネパール教育支援活動&学校建設プロジェクト
ネパール教育支援活動は、2001年に非営利組織(NPO)のマネジメントを研究テーマとする藤原ゼミが、夏期休暇を利用して世界最貧国の一つであるネパールを訪問し、現地の子ども達に文房具を手渡しするという活動から始まりました。2005年からは現地で学生自身が実際に体を動かして、ストリートチルドレンの施設や学校の校舎建設を支援する活動も行っています。
本活動では体験を理論的に裏付ける機会として、帰国後の活動報告を行っています。
最近では地域の小・中学校で講演を行い、地域住民の方々から多くの文房具が届けられるなど、地域社会との交流もこれまで以上に拡がっています。
※ 以下、2008年度ゼミナール研究発表会予稿集より抜粋して掲載。
はじめに(活動の目的)
ネパール教育支援活動は、世界最貧国の一つと言われているネパールの教育環境を改善することを目的にしています。
京都経済短期大学の教職員や学生がネパールを訪問し、ネパールの子ども達に直接文房具を手渡しすると共に、現地にある学校の校舎建設を行っています。この活動は2001年から実施されており、今年で8年目になります。
これまでに藤原ゼミの先輩達が4校の校舎建設してきました。そして、私達は2008年夏にネパールを訪問し、5校目の校舎建設活動を行ってきました。
2008年夏・ネパール教育支援活動
事前準備
ネパールとはどのような国なのだろうか。私達は訪問前に4回の「ネパール集会」を開きました。
集会では、資金カンパや文房具の収集状況の確認、寄付していただいた文房具の仕分け、教育支援活動時に着用するTシャツとキャップの製作、ネパールに関する学習などを行いました。ネパールに関する学習では、現状の教育環境や政治状況、経済状況について学びました。ゼミ生の中にネパール出身の留学生がいたため、ネパール語の発音や読み書きを教わりました。また、Tシャツとキャップを揃いにすることより、全員に一体感がでました。
ジョティー・プライマリースクール訪問
ネパールで最初に訪問したのがジョティー・プライマリースクールでした。
初めての学校訪問だったため、現地に到着するまでは、言葉を上手くかわせるのか、子ども達と仲良くなれるのかという不安な気持ちもありました。
この学校は生徒数が30人程の小さな学校で、私達が到着すると、学校の前で子ども達が花やリースを持って笑顔で歓迎してくれました。学校の校舎の中は電気がなく、昼間であるにも関わらず教室の中は薄暗く、机や椅子もボロボロで、子ども達が伸び伸びと勉強のできる環境ではないと感じました。
私達は一人一人に文房具を渡しました。文房具を手にした子ども達の表情はとても嬉しそうで、大切そうにリュックの中にしまう姿を見ていると、私達が当たり前に使用していた文房具がネパールではどれだけ大切なものなのかを実感しました。
シュリー・ブルブラ・セカンダリースクール訪問
次に訪問したのが、シュリー・ブルブラ・セカンダリースクールでした。
この学校は2006年に藤原ゼミが建設を支援した学校です。学校は山の上にあり、険しい山道を1時間程かけて歩き、やっと学校に到着しました。
文房具を渡したのは教室ではなく屋外の緑に囲まれたとても綺麗な場所でした。山中にある学校にも関わらず、生徒数は350人と多く、子ども達がどのようにして登校しているのか不思議でした。私達は、文房具を子ども達一人一人に手渡して行きました。成績の良い子どもには全員の前でプレゼントを渡しました。
受け取った子どもの誇らしげな表情がとても輝いていました。
シュクラ・ガンダキ・プライマリースクール訪問
校目に訪問したのが、シュクラ・ガンダキ・プライマリースクールでした。
学校付近まで車で行き、車が通れない道は徒歩で学校へ行きました。学校に到着すると、子ども達が列を作って私達を歓迎してくれました。この学校は2007年に藤原ゼミが校舎建設を支援した学校です。
この学校でも子ども達一人一人に文房具を手渡していきました。実際にネパールの子ども達と触れ合うと全員が元気なことに驚きました。ネパールに到着した当初、気持ちが浮かれ、本来の目的や、この活動を支援して下さる多くの方々の想いを忘れかけていました。しかし、現地で毎晩ミーティングを開いて話し合ううちに、全員の意識が変わっていきました。そして、多くの方々が校舎建設の費用や文房具をどのような気持ちで寄付してくださったのかを考え、その方々の気持ちも子ども達に伝わるように心を込めて文房具を渡そうと全員が思うようになりました。
この日は、今までと少し違った気持ちで子ども達に接することができました。
シュリー・クンダハ・プライマリースクール訪問
4校目に訪問したのが、シュリー・クンダハ・プライマリースクールでした。
この学校は2005年に藤原ゼミが校舎建設を支援した学校です。 校舎はコンクリート造りのしっかりしたものでしたが、この学校の教室にも電気が無くて薄暗く、机も椅子もボロボロでした。 文房具を手渡していて感じたのは、同じ学年でも全員の年齢が同じではなく、見た目からでもわかるほどに年齢差があるということでした。 なぜなら、本来入学するはずの年齢で入学できない子供や、入学しても途中で学校に通うことができなくなり、年齢を重ねてから再入学するという子供が数多くいるからです。 そこで、家庭の事情で教育をしっかりと受けることができない多くの子ども達がいるというネパールの教育事情を垣間見ました。
この学校には使用中の校舎の他に、建設中の校舎がありました。 この校舎は、2005年の藤原ゼミの活動を知った地域の方々が、自主的に資金を出し合って建設している校舎でした。 現地では教育に関心が薄い親が多い中で、藤原ゼミの活動が現地の人々の気持ちを動かしたことに強く感動し、私達もこのような素晴らしい活動に参加できたことを誇りに思いました。
ジャナジョティ・プライマリースクール訪問
ジャナジョティ・プライマリースクールが、今回のネパール教育支援活動での最後の学校訪問となりました。
2日に渡って訪問し、子ども達に文房具を手渡すと共に、校舎建設作業の手伝いをしました。 建設地に向かって歩いていると、子ども達が列をつくって私達を出迎えてくれていました。 子ども達が来ているとは思いもしなかったので驚きましたが、挨拶をしてくれたり、握手を求めてくれたり、歓迎してくれている姿を見て本当に嬉しかったです。
建設作業は、老朽化した校舎で使われていた石を再利用するため、ドアを剥がして屋根を取り除き、足場のできた壁の上に乗って壁を壊していきました。
取り出した石を手作業でトラックの荷台に詰め込み、近くの校舎建設予定地まで運んで再び手作業で降ろす。
その作業の繰り返しでした。
前日に雨が降ったせいで古い校舎の壁は雨をたくさん吸収していました。 石についた大量の泥で手にはめていた軍手はすぐに水分で重く冷たくなり、その冷たさに耐えることも大変でした。 子ども達は学校の制服を着ているのにも関わらず、手と服を汚しながらも一生懸命に、誰よりも大きくて重い石を運ぼうと頑張っていました。 現地の方々や子ども達と一緒にトラックの荷台までバケツリレーの形で石を運びました。 声を掛け合いながらこの作業を繰り返していると、楽しく笑顔で作業することができました。 そして、重い石や疲労も苦にならずに気持ちの良い汗を流すことが出来ました。
ネパールでの活動を通じて得たもの
昨年、藤原ゼミに入りネパールを訪問することを決めた時から、先輩達の話を聞き、本やインターネットでネパールのことを学びました。
ある程度の想像をして入国しましたが、ネパールの子ども達の教育環境は想像以上に厳しいものでした。そして、すぐに「日本の常識は、ここでは一切通用しない。」と感じました。飛行機を降りてから滑走路を歩いてターミナルに入ったこと、粗末で小さな学校の校舎、窓ガラスも電気もない教室、ボロボロの机と椅子。 日本での「当たり前」はネパールでは「当たり前」でありませんでした。 だからこそ、私達が快適に勉強できることや毎日安心して眠れること、進路を自由に選択できること、親という大きな存在に見守られていることは、本当に幸せなことだと感じました。
ネパールに入国するまで、私達はこの活動を真剣に考えることができていませんでした。 現地を訪問することで子ども達への気持ちや覚悟が甘かったことに気が付きました。 「知っていること」と「実際に目にすること」、「頭で理解すること」と「身体で体験すること」は全く違っていました。 ストリートチルドレンが目の前にいるのに何もできない自分達の無力さが私達の心に重くのしかかってきました。
私達は、「自分達に一体何ができるのか」「自分達は何をすべきなのか」を何度も話し合いました。 子ども達の無垢で純粋で屈託ない笑顔を見ると「この子ども達の未来のために、できるだけのことをしてあげたい!」と思いました。 そう思えるようになったのもこの活動に参加できたからです。
京都経済短大藤原ゼミ・ネパール学校建設プロジェクト
支援活動期間の後半には、「自分達自身で何か出来ないか?」を話し合うようになりました。 長時間の議論の結果、「来年春にもう一度ネパールを訪問し、自分達の力で学校を建設しよう!」という結論に達しました。 帰国してまず、「何をすべきか?」「何が必要か?」などを何度も話し合いました。 そして、「ネパール教育支援プロジェクトを成功させよう。誰一人欠けること無くやり遂げよう。」と決意しました。 リーダーを決め、各自の役割を決め、責任を持って行動するようになりました。 しかし、実際の活動は予想以上に困難で、なかなか思ったようにいきません。
ネパールで学校の校舎を建設するには数百万もの資金が必要です。 現在、資金を集めるために様々な活動をしています。 学園祭でフリーマーケット、募金箱の設置、ゼミ生達の出身高校への呼びかけ、藤原ゼミOB・OGへの呼びかけ、京都明徳高等学校・京都成章高等学校への呼びかけ、企業へ支援依頼にも行きました。 街頭募金やラジオでの呼びかけ等、いま私達ができることを一生懸命取り組んでいます。
最近は、支援者が徐々に増え、活動が少しずつ広がっていると実感できるようになりました。 一人一人が責任を持ち「自分達の手でやり遂げた!」と胸を張って言えるように、ひたむきに頑張りたいと思います。 そして、活動の最後は全員で喜びを分かち合い、最高の笑顔で京都経済短期大学を卒業したいです。


